意識低い大学院生、森林を考える

某大学森林科学科の同期4人で運営する共同ブログです。森林・林業の魅力を発信し、最新の知見も紹介します。現在、大学院修士課程に在学中。

林業経営は誰のためのものか

お久しぶりです。今回もTが担当します。無事に社会人2年目になり、本業(?)に忙殺されて森林・林業について腰を据えて考える時間がどんどん減ってきています。ましてブログとなるとなおさらです。あまりにもブログを書かなさ過ぎて広告が表示されてしまっているので、広告消去を兼ね、お気持ち表明をします。

 

お気持ち表明と言っていますが、別にポエムを述べるわけではありません。林業経営とは誰のためのものなのか、なぜ林業経営をするのか、林業経営による最終受益者は誰であるべきであるのかといった私が森林・林業に関する諸問題に取り組む上での根源的な問いに対する答えを改めて自分の中で確認しておきたいだけです。

 

結論から述べると、林業経営は森林所有者のための営みであると考えています。公開企業の利益が最終的には株主のものであるのと同様に、林業経営による利益は最終的には森林所有者に帰属するのではないかというのが私の考えです。

林業従事者、森林組合、施業プランナー等、森林管理や林業経営には多種多様なプレイヤーが関わりますが、彼ら/彼女らはみな森林所有者の収益向上を第一に考えるべきなのです。

 

営利企業の株主第一主義・利益至上主義により環境破壊や地球温暖化、労働者との軋轢が引き起こされてきた反省から、近年では営利企業であっても、ESG/SDGsを意識し、全てのステークホルダーに配慮した経営を行う団体が増加傾向にあります。ESG/SDGsを意識した経営は市民や政府からの批判をかわすのみならず、むしろ収益を向上させることも明らかになってきています。

林業経営はそもそもその営み自体がESG/SDGsに資するものです。収奪的な皆伐を繰り返したり売れる木をひたすら刈っていくのではなく、森林の多面的機能を十分に発揮させながら木材生産を行うことができるはずです。これはESG経営/SDGs経営の考え方とも合致しています。

森林所有者の収益を最大化するための林業経営のありかたはどうあるべきか、改めて考えていきたい。