意識低い大学院生、森林を考える

某大学森林科学科の同期4人で運営する共同ブログです。森林・林業の魅力を発信し、最新の知見も紹介します。現在、大学院修士課程に在学中。

森林に関する国際的な学生NPO団体

 お久しぶりです。だいぶ日が開いてしまいましたが気合いを入れて更新していきます。今回はゴールデンウィークに実家に帰省して英気を養い、若干テンションが上がっているTが担当します。

 

 今回は少しテイストを変えて、私が所属しているNPO団体の紹介をしたいと思います。International Forestry Students’ Association: IFSAという団体です。

 

1.IFSAってどんな団体?

 IFSAは世界中の森林科学専攻の学生が運営するNPO団体です。森林科学を専攻する学生に対し、学習と交流の機会を提供することを目的に日々活動しています。学生同士の交流イベントを開催したり、国際的な学術会議への参加を行っています。

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1-1 世界中の学生が運営するNPO

 IFSAの運営には10,000人を超える学生が関わっています。イベント企画運営、スポンサー開拓、広報、資金管理等、役割を分担しながら巨大な組織を運営しています。本部はドイツに置かれており、40以上の国や地域にメンバーが散らばっています。メンバーは各大学でIFSAの支部組織(Local Committees: LC)を組織し、運営しています。基本的に各大学に1つのLCが置かれています。日本では北海道大学京都大学にLCが設置されています。私はIFSAのLCの代表を現在務めております。

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1-2 学習と交流機会の提供が目的

 IFSAは世界中の森林科学専攻の学生を世界の同朋と繋ぎ、森林環境系団体との関りを持ち、森林及び環境に関する政策決定に関わるために活動を行っています。IFSAはvisionとして、「我々の森林にとって持続可能な未来を実現するために知識や理解を深め、また、若者の声を国際的な森林環境政策決定に届けるために森林科学を専攻する学生が国境を越えて連携する」ことを掲げています。また、missionとして、次の4つを掲げています。(1)全ての森林科学専攻の学生の利益のため、組織の継続を確保すること。(2)高等教育の改善に貢献し、学校外教育を促進すること。(3)森林科学を専攻する学生の視野を広げ、国際的な意思決定プロセスにおいて若者を代表すること。(4)IFSAの要求を満たし得る革新的で持続可能な財務管理計画を立案すること。

 また、IFSAメンバーを国際的な森林環境団体と結ぶことを目的としています。例えば、IFSAはInternational Union for Forest Resarch Organizations: IUFRO(国際森林研究機関連合)、Center for International Forestry Researach: CIFOR(国際林業研究センター)、Food and Agriculture Organization of the United Nations: FAO(国連食糧農業機関)等、大規模で力のある国際団体をパートナーとして抱えています。

 さらに、学生の声を国際的な政策決定に反映させることを目的としています。IUFROやCIFORやFAO等の団体がパートナーとなっているため、彼らの主催する学術会議や国際学会への参加が可能となっています。例えばIFSAはIUFROと共に、森林教育の分野で共同研究や啓蒙活動を行っています。Joint IUFRO-IFSA Task Force on Forest Educationという名で積極的な活動を展開しています。

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1-3 イベントや学術会議を開催

 上記のパートナーと共同でイベントを開催することに加えて、IFSA独自のイベントも企画しています。こちらは学生同士の交流を主としたもので、Internatinal Forestry Students’ Symposium: IFSSと呼ばれています。毎年各大学が持ち回りで主催し、2週間に渡り世界中のLCメンバーが集うIFSAの一大イベントです。残念ながら私は日程が合わずこれまで参加したことはありませんが、ぜひ一度参加してみたいものです。

 また、IFSS以外にも地域レベルで学生が集まるイベントもあります。私は日本の大学に通っているので、IFSAにおいてはアジア太平洋地域に区分されています。アジア太平洋地域のみの学生が集まり、IFSSのように交流や学習を行うイベントがあり、こちらはAsia-Pacific Regional Meeting: APRMと呼ばれています。私はこれまでに2回さんかしたことがあります。IFSSと同様、年に1回持ち回りで開催しており、2016年は京大が主催、2017年はインドネシア・ボゴール農科大学が主催しました。そして再来週から2018年のAPRMが始まり、今年はフィリピン大学ノスバノス校が主催です。今年は私はスケジュールの関係で参加できませんが、私たちの支部に所属する4年生の子が参加するので、報告を楽しみにしています。

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 今日はこのへんで終わりにします。ぜひ興味があるときにIFSAについて調べてみてください。それでは。

参考文献

IFSA HP: http://www.ifsa.net/

Joint IUFRO-IFSA Task Force on Forest Education: https://www.iufro.org/science/task-forces/forest-education/

画像:本日私が2年生向けにプレゼンしたIFSAの紹介資料から抜粋